訴訟の概要

法的措置を通じて巨大資本に変化を

グローバル課題：Googleの米国中心主義と日本の労働権の衝突

Googleの日本オフィスで起きている労働争議の背景には、いくつかの共通した問題があります。

争議の根底にあるのは、責任の所在が不明確なまま、日本の労働法が無視されているという点です。Google本社はアメリカ中心の考え方で判断を下します。日本の人事部門は、本社の方針に異議を唱えないまま、その判断を実行に移します。結果として、日本の労働組合や司法が長年かけて築き上げてきた判例や慣行が軽視され、アメリカ式の解雇や退職勧奨がそのまま持ち込まれています。

法律は単なるルールではなく、その国の歴史や文化、社会規範が凝縮されたものです。近年、文化帝国主義（Cultural Imperialism）が世界的な問題となっていますが、労働法においても同様の視点が必要です。

日本で働く労働者が長年の努力によって築き上げてきた労働法や判例、そしてその背後にある歴史と文化を、Googleはもっと尊重すべきではないでしょうか。

Googleは、日本法人を含む各国のオフィスにおいて、より強い自治権を尊重し、現地の状況に合わせた十分なバックオフィス体制を整えるべきです。そして、各国で働く労働者と積極的に対話しながら、それぞれの国の文化や法制度に沿った職場環境を築いていくことが求められます。

ボーナス減額による報復

[進行中]2023年1月に行われたAlphabetのグローバルレイオフの一環として、日本でも2023年3月に約6％の従業員が影響を受けました（Google JapanおよびGoogle Cloud Japanを合わせて）。影響を受けた従業員のうち、6名（現在はJAUメンバー）は孤立したチームに配置され、Googleの事業にほとんど貢献できない業務を会社から課されました。さらに、2024年3月のボーナスおよび株式リフレッシュ期間において、これらのメンバーは非常に少額のボーナスしか受け取れず、RSU（制限付き株式単位）の株式リフレッシュもゼロとなりました。この会社の対応は、2023年3月に提示された相互合意退職契約（MSA）を拒否した従業員に辞職を強制することを目的としていたことが明らかです。「影響を受けた」ステータスを理由に総報酬を減額することは、Google Japanがこれらの従業員を適切な公式役職に配置する責任を果たしていないことを示しており、従業員に対するこの不当な扱いは違法行為です。これら6名の従業員は、JAUの弁護士パネルに相談した上で、最終的に2025年1月31日に東京地方裁判所へ訴訟を提起することを決定しました。

不当なPIPおよび解雇

[進行中]
PIP（Performance Improvement Plan／プログラム）は、アメリカでは従業員を解雇するために乱用されることがある手法であり、現在は日本でもジョブ型雇用制度の一環として政府により推進されています。この手法は、従業員に課題を割り当て、「改善の機会が与えられた」という証拠として利用し、目標未達を解雇理由とするものであり、不合理な課題や恣意的な運用が問題となっています。Google Japanで典型的な不合理PIPを受けた従業員が、JAUに加入して声を上げました。解雇は「リーダーシップ不足」という抽象的かつ恣意的な基準に基づいて行われ、一部プロセスに疑義があったにもかかわらず、2024年12月に解雇が強行されました。この組合員は、2025年2月に東京地方裁判所に仮処分を申し立てました。

団体交渉拒否

[進行中]2023年3月に行われた育児休業・産休中の従業員を含むレイオフについて、組合は直ちに会社に対し、団体交渉を通じて説明を求めました。組合の要求は以下の3点でした：１．業績数値やレイオフ対象などを含む、レイオフの必要性に関する説明２．育児休業・産休中の従業員が、休暇終了まで雇用を継続できるようにすること３．説明不足により誤解のもとで退職合意書に署名した従業員に対し、再度説明の機会を設け、退職するかどうかを改めて選択できるようにすること会社は形式的な団体交渉を2回実施しましたが、実質的な議論につながるような情報はほとんど開示しませんでした。その後、会社は「応じる必要はない」として、組合のすべての要求を拒否しました。2023年11月、組合はこの対応を違法な不誠実団体交渉であるとして、労働委員会に救済申立てを行いました。労働委員会は本件を不誠実団体交渉に該当すると認めており、近く救済命令が出される見込みです。

育児休業中の従業員を対象としたレイオフ

[完了]JAUは、GAFAM各社で大規模なレイオフが行われたことを受けて、2023年2月に結成されました。当時JAUが直面した大きな課題のひとつは、2023年3月に日本で実施された希望退職プログラムにおいて、少なくとも6名の育児休業中の従業員が対象となっていたことでした（組合が把握している範囲で）。当然ながら、これらの従業員はいずれもその時点で退職を望んでいませんでした。しかし、「退職勧奨を拒否すれば解雇されるかもしれない」という不安から、6名のうち5名が退職合意書に署名しました。そのうちの1名である組合員が勇気をもって声を上げ、東京労働局雇用環境・均等部に行政指導を求める申立てを行いました。JAUはこれを支援するために署名キャンペーンを開始し、2023年6月23日に14,917筆の署名を提出しました。この市民からの大きな支援が決定的な後押しとなり、2023年11月14日、労働局から会社に対して行政指導を行う決定が通知されました。それ以来、育児休業中の従業員が希望退職の対象とされる事例は報告されていません。

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